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世界の人口が爆発的に増加する中、食料の不足に関する懸念が高まっており、2015年の国連サミットでは「2030年までに世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させる」という目標が設定されました。この背景には「食品ロス(フードロス)」の問題があります。そこで、今回は世界中で問題となっている食品ロスについて、日本の現状や私たちにできる対策についてご紹介します。
食品ロスとは、まだ食べられるのにもかかわらず捨てられている食品のことを示します。世界の食料廃棄量は年間でおよそ13億tにのぼると言われており、人が消費する目的で生産された食料のうち、約3分の1が廃棄されています。
このように莫大な食品ロスが発生すると、せっかくの資源が無駄になるだけでなく、ゴミ処理のために多額の費用が必要となったり、CO2の排出や焼却後の灰の埋め立てなどにより環境に負荷がかかったりします。限りある資源や環境への配慮といった観点からも、一人ひとりが食品ロスを減らしていかなければならないのです。
日本では1年で2,842万tの食品が捨てられています。この中の650万t程度が食品ロスに該当します。これを国民一人当たりに換算すると、お茶腕約1杯分の食べものが“毎日“捨てられているという計算になります。
日本における平成27年度の食品ロス(年間646万t)のうち、家庭系からは289万t、事業系は357万tと見積もられています。家庭系の食品ロスには食べ残し、手つかずの食品、野菜や果物の皮の剥きすぎなどが含まれます。事業系の食品ロスは主に売れ残り、返品、食べ残しなどです。
家庭系の食品ロスは想像がつきやすいので、ここでは事業系の食品ロスのうち「外食での食べ残し」を中心に解説します。まず、レストランや居酒屋など飲食店における主な食品ロスの要因は「お客さんの食べ残し」や「提供できなかった仕込み済みの食材」です。
例えば、歓送迎会や忘年会といった宴会の席で、歓談に夢中になってしまい料理をほとんど食べなかったという経験はありませんか?団体一組だけなら大した量でなくとも、皆が同じことをしてしまうと食品ロスは膨大な量になります。そして、発生した食べ残しはリサイクルをするにも手間がかかるため、大半がそのまま廃棄されてしまいます。
さらに、日本の食品ロスの約半数が事業系の食品ロスとなっていますが、もしこれらの食べ残しが解消し、その分の食料が世界中で飢えに苦しむ人々に向けて援助されたとすると、現在国連が支援している地域で飢えに苦しむ人がいなくなります。そのため、私たち一人ひとりがこの問題に関心を持ち、一丸となって食品ロス削減のための努力をしなくてはなりません。
宴会での食品ロスを少しでも無くすために、私たちは具体的にどのようなことができるのでしょうか。ここからは、誰もがすぐに始められる4つの対策をご紹介します。
宴会の幹事さんが一言「今日は美味しく食べきろう」と声かけを行うだけでも食べ残しを削減することができます。宴会終了時間の10〜15分前に知らせるなど、宴会の参加者に無理をして食べさせることのないように、時間に余裕を持って周知しましょう。ある自治体が行った調査では、幹事が声かけをしたときの方が、しないときよりも食べ残しが少なかったという結果がでています。
3010運動とは、宴会の際の食べ残しを減らすキャンペーンのことで、「乾杯後30分間は席を経たずに料理を楽しみ、お開きの10分前になったら自席に戻って料理をすべていただく」というものです。元々は長野県松本市の自治体で始まった運動でしたが、環境省がTwitterで周知・推奨したことによって全国的に広まりつつあります。
宴会のコース料理についてくるデザートは、甘いものが苦手な人にとって手をつけづらいメニューでしょう。そんなときは、周りにいる人に食べてもらえないか声をかけてみましょう。女性は甘いものが好きな人が多いので、ひょっとすると食べてくれるかもしれません。もちろん甘いもの好きな男性に頼むのも問題ありません。自分が食べられないからといって手をつけずに置いておくのではなく、一度周りの人に聞いてみるのも食べ残しを防ぐひとつの方法です。
大人数の宴会では定番の席替えですが、席を移動する際に自分のお箸やお皿、グラスなどを置いてきてしまうと、その後は料理を食べることができなくなってしまいます。色々な人たちとの会話を楽しむことも大切ですが、せっかくの料理に手をつけず、残してしまうのは非常にもったいない行為です。席替えなどで自席を離れるときは、その後も食事できるように自分のお箸、お皿、グラスを持って移動しましょう。
食品ロスを無くすには、私たち一人ひとりの意識と心がけが大切です。まずは食品ロスという問題に対する知識と理解を深めて、改めて食に対する感謝の気持ちを持ちましょう。そして、日常の中でできることから取り組んでみてください。
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