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焼き鳥のメニューはバラエティに富んでいますが、ねぎまもその一つです。
現代でねぎまと言うと、鶏肉とねぎが交互に串にささっている焼き鳥をさしています。
肉とねぎを別々に食べると、それぞれの風味を楽しむことができます。
また、肉とねぎを一緒に食べると、肉汁とねぎの甘みが同時に味わえるので、焼き鳥のメニューの中でもねぎまの人気が高いのもうなずけます。
現代のねぎまの形態から、ねぎまの「ま」は、ねぎが鶏肉と鶏肉の「間」にあるからと考える方も多いですが、本当は別の意味からきています。
今回は、ねぎまの本当の由来についてご紹介します。
さらに焼き鳥の種類について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
▶焼き鳥の種類一覧!定番の部位から野菜串まで詳しく紹介
現代のねぎまと昔のねぎまは意味が異なります。
最初に「ねぎま」と呼ばれたのは、ねぎとまぐろを一緒に煮た鍋料理で、ねぎまの「ま」は、まぐろの「ま」なのです。
ねぎまは、鍋料理の名称として呼ばれていたのと同時に、ねぎとまぐろを串にさした料理でもありました。
串にさしたまま鍋に入れて、おでんの牛スジのように煮込んで食べることもあれば、焼いて食べることもあったようです。
ねぎまを具材として煮た鍋は「ねぎま鍋」と呼ばれ、江戸時代の終わり頃から多くの人に長く親しまれる食事となりました。
しかし戦後はまぐろの値段が上がり、とても高価な食材になったため入手しにくくなりました。
その際、まぐろの代わりとして安価な鶏肉が広く使われるようになったのです。
また、鶏肉を使ったねぎまが一般的になったもう一つの理由として、まぐろの食べ方が変わったことも考えられます。
以前は、まぐろは火を通して食べることが多い食材でしたが、現代では寿司や刺身など生のままで食べるメニューが増えました。
ねぎま鍋では、まぐろに火を通すことになるので、火の通ったまぐろよりも生のまぐろを好む日本人が多くなった結果、ねぎま鍋が一般的でなくなったと言えます。
このような歴史を振り返ると、現在はねぎまと言えば焼き鳥、と想像する方が多いのもうなずけます。
私達の生活に根付いている焼き鳥ですが、焼き鳥は平安時代には既に存在したと言われています。
この頃は、家畜の鶏を食べることは禁止されていましたが、狩猟で得たスズメやうずらなどの野鳥を捕まえて串焼きにして食べられていました。
これが、現在の焼き鳥の始まりだと言われています。
明治時代になると、現在食べている焼き鳥の形式ができあがりましたが、当時の鶏の価値は牛肉より高いものでした。
そのため焼き鳥に使われたのは、鶏ガラやスジ、牛の切り出しや馬肉の下等物などだったのです。
焼き鳥がさらに一般に広まったのは戦後のことでした。
飼育が簡単で値段も安いブロイラーと呼ばれる食用鶏が広まったことで、焼き鳥屋が積極的に鶏肉を取り入れるようになったのです。
そして現在では、焼き鳥は日本人の国民食と呼ばれるほど親しまれる食事となりました。
どの部位でも美味しく食べられるようになったのは、先人が試行錯誤を続けた努力の賜物だと言えます。
現代でも、江戸の郷土料理として、まぐろを使ったねぎま鍋をメニューとして提供している飲食店が多数あります。
ねぎま鍋と、どじょう鍋、深川鍋とあわせて、下町三大鍋と称す人もいます。
俳句の冬の季語として使われることもあり、日本人の生活に今なお根強く関係していることが分かります。
また、自宅でねぎま鍋を作るレシピもたくさんあります。
甘辛い割り下でねぎを煮て、その上にまぐろをのせて食べるのが一般的ですが、薬味をのせたり好みの味付けで割り下を作ったり、まぐろの部位を選びながら作ることもできます。
このように、日本の歴史を物語るメニューを家庭で再現できたら嬉しいですね。
ねぎまに使う肉は鶏肉というところが多いですが、地域によって違う肉を使う場合があります。
名古屋市内や愛知県・岐阜県南部の辺りでは、鶏肉の代わりに豚肉が使われており、これには名古屋の特産品である名古屋コーチンが関わっていると言われています。
名古屋コーチンの生産拠点である名古屋には、国産よりも安価な外国産の鶏肉が輸入されるのが他の地域より遅れました。
また、名古屋周辺にはもともと豚串というメニューがあり、これがそのままねぎまと呼ばれるようになったという説があります。
現在でもねぎの間に挟む肉を豚または鶏どちらにするか、店舗責任者の判断に委ねている経営者もいるそうです。
名古屋周辺の地域に出かけた際は、その土地ならではのねぎまを味わってみるのも面白いかもしれません。
ねぎまの由来が焼き鳥ではなく鍋だったことは、あまり知られていないのが事実です。
家族や同僚・友人と焼き鳥屋を訪れ、ねぎまを食べるとき、話のネタにすると盛り上がることでしょう。
また、ねぎま鍋もぜひ味わってみたいですね。
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