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モルトとは麦芽のことを指します。
ビールを製造するときには、ホップや酵母、水のほかモルトが使用されます。
しかし、ボトルや缶の成分表にはモルトではなく、麦芽と記載されていることも少なくありません。
そもそも酵母を使って麦芽をアルコールにするには、麦に含まれるデンプンを糖に変換する必要があります。
そして、この反応を引き起こすためには麦に含まれるデンプンを糖に変換する分解酵素が含まれていなければなりません。
そこで、麦を発芽させることによってデンプンを分解するアミラーゼを活性化し、アルコールの生成を促しているのです。
麦ではなく麦芽(モルト)でなければならない理由はここにあります。
原料となるのは大麦ですが、オート麦やライ麦などが使用されることもあります。
モルトを作るためにはまず水を含ませ、発芽しやすい環境を整えます。
発芽を促すために、水の入れ替えや空気を送るなどしていきます。
2日間ほど水に浸しておき、その後発芽室に移します。
糖化のために必要な酵素はこのステップで自然に活性化していきます。
そのまま発芽が続くとすべての栄養が成長に使われてしまうため、タイミングを見計らって乾燥させ、工程をストップさせます。
乾燥させるときの温度によって麦芽の色が変わります。
85~100度で乾燥させたものは淡い色になりますし、160~220度で焙燥したものは色が濃くなり、黒ビールなどによく使われています。
苦みや香ばしい香りのある麦芽が作られるのはこの工程の操作によります。
フロアモルティングと呼ばれる、昔ながらの製法もあります。
水を含ませた大麦を床などに広げ、スコップなどを使って何度もひっくり返す方法です。
何度もひっくり返すことで乾燥を促すのですが、手を止めるわけにはいかないため24時間体制で行われます。
そのため、負担が大きい方法とも言えるでしょう。
時間はもちろん手間も相当かかる作業なので、現在ではほとんど行われていません。
大量生産に向かないのも行われていない理由のひとつでしょう。
現在は麦芽のメカニズムも分かっているため、専門業者の手によって化学的な手法が主流になっています。
日本はもちろん、世界に目を向けると実にたくさんのビールが販売されています。
それぞれの商品は味や香り、色などが異なりますが、これらの要素に深く関わっています。
日本ではあまり見かけませんが、スモーク感が強いドイツのラオホビアメルツェンや、エクストラスタウトなど、世界にはモルトを使って強烈な個性を出しているビールがたくさんあります。
そのほかにいくつもの種類がありますが、どのモルトを使用するかで味や風味が大きく変わってきます。
このようにモルトはビールのテイストを決定づけるために必要不可欠な存在だと言えます。
ビールに使用されるのは主に6種類です。
それぞれに特徴があり、商品のテイストを決定づける重要な要素となります。
もっともよく利用されているペールモルトや、黒ビールに使用されるブラックモルトなどは有名でしょう。
ここでは、それぞれの特徴を押さえていきます。
以下の記事ではビールの種類について詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
▶【ビールの種類一覧】わかりやすい早見表を用いて紹介!特徴や選び方も解説
麦芽を乾燥させるプロセスで、じっくりと低温で加熱するモルトです。
時間をかけながらゆっくりと過熱するため焦げ色もつかず、カラメル化もしません。
もっともポピュラーな麦芽であり、さまざまな商品に使用されているのも特徴でしょう。
小麦を使って作られたモルトをウィートモルトと呼びます。
一般的にビールには大麦を使用しますが、小麦を使ったものはビールに白いにごりを与える働きがあります。
また、グラスなどに注いだときの泡が安定し、持ちがよくなるのも特徴です。
焙煎することで黒くなったモルトです。
黒ビールに使われるほか、スコッチエールにも使われています。
単体で使用されることもありますが、ペールモルトと合わせて使われることも少なくありません。
ビターな香りと苦みがあることから、チョコレートと名付けられています。
苦みはあるものの香ばしさもあり、特徴的な味のビールに仕上がります。
こちらのモルトも黒ビールによく使われますが、実際は黒ビールに使用されるモルト全体の2割程度に留まります。
以下の記事では黒ビールについて詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
▶黒ビールとは?その特徴や種類について紹介
甘い香りが特徴的なビールには、よくカラメルモルトが使用されています。
代表的なものを挙げると、イギリスで人気のペールエールです。
別名クリスタルモルトとも呼ばれ、ビールそのものに甘味を加える効果があります。
ペールモルトを乾燥させるときよりもやや高い温度で乾燥させて作られます。
焦げ目は少ししかなく、香ばしい香りに仕上げるときに使用されることがほとんどです。
赤みがかった色のビールに使われることが多いモルトです。
モルトがビールを造る上で非常に重要なものであることは間違いありません。
使われる種類によって味や香りが大きく変わるため、メーカーによって違いがあります。
今後ビールを飲む際に、どんなモルトが使われているかを考えながら味わうと、飲み会の席がより楽しくなるでしょう。
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